こんにちは。
六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
相続人が誰もいない場合、亡くなった人の財産はどうなってしまうのでしょうか?
「最終的に国庫に帰属する」と聞いたことがある人がいるかもしれませんが、
実はそう簡単に国庫に帰属するわけではありません。
国庫に帰属するまでには長い手順を踏む必要があるのです。
今回は、これをテーマにお話しします。
【相続人不存在とは?】
相続人がいない、つまり「相続人不存在」とは、言葉の通り、「遺産を相続する人間がいない」ことを指します。
相続人不存在とは以下の場合に該当します。
- 戸籍上に相続人となる人が見当たらない場合
- 最終順位の相続人が、欠格、廃除、放棄によって相続権を有しない場合
ここで注意が必要ですが、相続人が行方不明の場合は、相続人不存在にはなりません。
この場合は、不在者の財産管理や失踪宣告の規定によって処理されることになりますので、処理方法が違うことにご注意ください。
【相続人不存在の財産は、誰が処理をするの?】
相続人不存在の場合、「相続財産管理人」が遺産の管理・弁済等一連の手続きを行うことになります。
相続財産管理人は、家庭裁判所の審判によって選任されますが、通常は地域の弁護士が就任します。
相続人がいない財産は、法人化(財団化)しますので、相続財産管理人はこの財団を管理するということになります。
【相続人不存在の財産処理の流れは?】
相続人がいない場合の財産は以下のような流れで処理されます。
1.家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、公告
最低2ヶ月の公告期間を設け、相続財産の保存・管理を行いながら、相続人が現れるのを待ちます。
2.債権申し立ての公告
選任公告後2カ月たっても相続人が現れない場合は、相続債権者や受遺者などのすべての利害関係者に対して、2か月以上の期間を定めて、債権の申したてを行うように公告をします。
3.家庭裁判所による相続人捜索の公告
債権申し立て公告期間が過ぎても、まだ相続人が現れないようであれば、家庭裁判所は相続財産管理人の請求により6ヶ月以上の期間を定めて、相続人捜索の公告をします(民法958条)。
4.国庫に帰属
3の公告期間が満了すると、「相続人の不存在が確定する」ことになります。
そして、この相続財産は国家に帰属することとなります。
上記のような流れで財産は処理されます。
【まとめ】
上記でご説明いたしましたように、相続人不存在の財産が国家に帰属するまでにかかる期間は最低でも10ヶ月を要し、皆さまが思われている以上に、相続人不存在の手続きは煩雑かつ面倒です。
2017年4月に国立社会保障、人口問題研究所が発表したデータによると、生涯未婚率は男性23.37%、女性14.06%と、男女とも過去最高値を更新しています。
男性は4人に1人、女性は7人に1人が一生結婚しない世の中になりました。
今後も、相続人がいない案件がますます増えていくと思われます。
相続人がいない場合などは特に、今のうちに遺言を作成しておく等をお勧めしましょう。
相続に関して、お悩み等ございましたら、相続専門の六法法律事務までお気軽にご連絡ください。
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