こんにちは。
六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
前回のコラムでは、信託がどういうものかについてのご説明をさせていただきました。
少し難しい説明になってしまったと思います。
今回は、【家族信託でできること】のうち、遺言代用に焦点を絞って、
お話しさせていただきます。
【信託の種類】
信託には、民事信託と商事信託があります。
1. 「商事信託」
「商事信託」は、営利目的の信託を指します。
そして、商事信託は信託業法の対象となり、業として行えるのは信託銀行と信託会社のみです。
2.「民事信託」
「民事信託」は、営利目的ではない信託を指します。
この民事信託の中で、家族や親族を受託者として、財産を託す仕組みを、
「家族信託」といいます。
この家族信託によって、どのようなことができるのか。
具体的に説明してまいります。
【家族信託活用方法】
「家族信託」の活用方法として、下記のパターンが考えられます。
1.遺言代用
2.高齢者・障害者等の財産管理としての信託
3.資産承継の順番指定
4.同族会社の事業承継
【遺言代用】
1.遺言と信託契約と効果
遺言を行う場合、遺言の厳格な方式に従わなくてはなりませんが、信託は、委託者と受託者との契約で行うことができます。
信託に信託財産の帰属を定めることにより、遺言と同じ効果を発揮させることができます。
2.信託の効力発揮の時期
信託契約は、契約の締結と同時に効力を発揮させることができます。
遺言は、死後の財産の帰属についてしか定められないので、より広範に利用することができます。
また、遺言はいつでも取り消すことが可能ですが、信託であれば契約の性質上、解除等の理由が必要になるので、一部の相続人による遺言内容の操作等は出来なくなります。
3.遺言書では補えない補完機能としての効果
条件を付けて、財産を渡すことができることと、生前信託を利用することにより、すぐに財産を使用することができます。
【条件を付けて、財産を渡す場合の条件の例示】
(1)時期に関する条件
財産を受け取る人が、未成年者の場合に、「大学を卒業してから」というように、「相続人がある年齢に達してから」という時期に関する条件を付すことができる。
(2)金額に関する条件
浪費癖がある相続人の場合に「毎月の支払金額は15万円とする」と条件を付すことにより財産を受け取った人は、財産を計画的に使用することができます。
(3)回数に関する条件
「2ヶ月毎に50万円」という具合に、何回かに分割して財産を渡すということもできます。
このように、一括で渡すかわりに、何回かに分けて渡したりと回数に関する条件を付することもできます。
(4)使用目的に関する条件
「怪我や病気の治療費」というように、目的と状況に条件を付し、財産を有効に使用することが条件になる場合もあります。
このように、遺言書の補完機能としての信託の活用もできるのです。
次回は、
【高齢者・障害者等の財産管理としての信託】
についてお話しします。
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