こんにちは。
六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
前回のコラムでもお話しいたしましたように、今回の相続ルール改正は、配偶者の「内助の功」を強く意識した内容になっておりますね。
長年連れ添った配偶者に自宅の居住権を認めるかどうかという点に、注目が集まっているようです。
しかし、実は、中小企業の事業承継がしやすくなるというメリットもこの改正でありそうです。
今回のコラムは、相続ルール改正がもたらす中小企業への意外なメリットについて書きたいと思います。
【相続ルール改正で中小企業は事業承継がしやすくなる!?】
法務省法制審議会の「民法(相続関係)部会」が今年6月21日に公表した『民法(相続関係)等の改正に関する中間試案』によると、「相続人に対する贈与は相続開始前の一定期間(例えば5年間)にされたもののみ遺留分算定の基礎財産に参入する」と提案されています。
と言うことは、法案が国会通過した場合、早い段階で(相続発生の5年より前に)長男へ自社株を贈与してしまえば、先代に相続が発生しても贈与された自社株は特別受益(財産の前渡し)に該当しないことになります。
つまり、事業承継スキームが大幅に変更される可能性があるということです。
現在ある「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の「遺留分に関する民法特例」では、
推定相続人全員の合意の下、
●除外合意…後継者に贈与された自社株を遺留分算定基礎財産から除外
●固定合意…遺留分算定基礎財産に参入する自社株の価額を合意時の時価に固定
することが出来るとされていますが、ほとんど利用されていないのが実態です。
自社株だけじゃなく、農家における田畑等、現実的に分割不可能な財産しかない資産家にとって、
早目の贈与が相続対策上有益になるかもしれません。
【まとめ】
現在の相続法は1980年以来、抜本改正されていないのが現状です。
その間、日本の社会・経済情勢は目まぐるしく変化しました。
特に高齢化が進み、介護問題が深刻化したことは相続の現場にも大きな影響を及ぼしています。
時代の流れに合ったルール改正を求める声は高まっており、中小企業の後継者問題もその一つといえるでしょう。
以前のコラムで、安易な生前贈与は失敗する!?という記事を書きましたが、
もしこの改正法が成立すれば、早い時期に株式を生前贈与する機運が生まれる可能性もあります。
「経営者が元気なうちに次の世代に事業を引き継ごう」ということが増えるかもしれませんね。
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