こんにちは。
六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
20年以上の夫婦間での住宅相続に関することで下記のような記事が出ていました。
「法務省は4日、結婚20年以上の夫婦のいずれかが死亡した場合、住宅を贈与された配偶者を財産分与で優遇する方向で検討に入った。
相続法制の見直しを進めている法制審議会(法相の諮問機関)民法部会でおおむね賛成を得ており、答申を経て、来年の通常国会に民法改正案の提出を目指す。
相続人同士が遺産を分ける過程で、住居を失う恐れがある高齢者の生活安定が目的。高齢化社会で独り暮らしとなる配偶者が増加していることが背景にある。結婚20年以上が条件で、生前あるいは遺言によって、居住する建物や土地を贈与された場合が対象になる。」
(2017年5月4日の時事通信社記事より)
本日は、法務省が検討に入った、この「配偶者への住宅贈与に関する優遇」についてお話します。
【現在の相続税法では特例で最高2千万円控除】
現行の相続税法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに、最高で2千万円まで、配偶者控除を受けられるという特例があります。
適用要件は、下記になります。
- (1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
- (2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること。または、居住用不動産を取得するための金銭であること
- (3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または、贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
上記の特例が見ると、既にかなり優遇されているように思われるかもしれませんね。
では今回の検討案と従来の特例では、何が違うのでしょうか?
【現行法と検討案との違い】
現行制度では、居住用不動産なども全体の相続財産に一度計上し、相続人全員で分割することになっています。
そのため、贈与を受けた配偶者は贈与された不動産の分だけ、預貯金等の取り分が減ることになります。
今回、法務省は、長年連れ添えば、住宅などの贈与は相手の老後の生活保障を意図したものと解釈し、条文に、死亡した配偶者が住宅を相続財産に計上しない意思があったと推定する規定を設ける方向で調整しているようです。
上記の案は、来年の通常国会にて提出したいとしておいるようで、長年付き添ってきた夫婦にとっては、とても良い改正になりそうですね。
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