こんにちは。
六方法律事務所の弁護士、道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
さて、前回は遺言の内容を確実に実行するためには、遺言執行者を定めておくとよい、ということ、その理由と、実際に遺言執行者は何をするかをお伝えしました。
今回は遺言執行者が定められていない場合に起こりえるリスクと、遺言執行者を定めておく方がよい理由をご説明します。
【遺言執行者が定められていない場合はどうなるのか?】
遺言書は、遺言執行者が定められていなくても有効です。では遺言執行者が定められていない場合に、遺言の実行はどうなるのでしょうか?
遺言執行者がいない場合には、例えば預貯金の解約や換金の際に、金融機関が定めた必要書類などへ、相続人全員の署名や実印での押印作業が必要になります。そのため、仮に相続人のうち1人が書類を送ってくれない、連絡がつかない、などの場合には、いつまでも遺産分割ができない、という事態になってしまいます。
【遺産分割ができない期間のリスク】
遺産分割ができない期間が長いと、以下のようなリスクがあります。
・株券を換金できない間に、株価が下がってしまう可能性がある。
・遺産の一部である預貯金を引き出せないので、相続税の支払いに困る。
・待っている間に、遺言書通りの分割に反対する相続人が現れる可能性がある。
このように、遺産分割が速やかにできない場合、相続トラブルに発展することが考えられます。
【遺言執行者を指定しておく方が良い理由】
相続に関する事務手続きは煩雑です。被相続人の誕生から死亡までの戸籍類を取り寄せたり、不動産登記情報を入手したり、と手間と時間、そして根気がいる作業です。日常生活をする傍らで、これらのことをするのは、なかなか難しいでしょう。
仮にそれらを相続人の一人がとりまとめて手続きをした場合には、善意でやっているにも関らず、他の相続人から「本当に公平にやっているのか」「自分に有利なように進めているのではないか」という疑いの目をかけられてしまうことも避けられません。
こうなると、相続人の間で感情がギクシャクしてしまい、遺言書通りの相続はおろか、相続トラブルへ発展しかねません。これでは、何のために遺言を作ったのか、わからなくなりますね。
その点、遺言執行者が指定されていれば、手続きの際に、いちいち相続人全員の署名や実印の必要はありません。遺言執行者が責任者として、単独で手続きができます。
つまり相続人に負担をかけずに相続手続きをすることができます。遺言執行者は、被相続人の遺志である遺言を着実に実行してくれるので、自分の死後に実際の相続はどうなるのか、という心配もありません。
こういった点からも、遺言を作る際には、遺言執行者を定めておくことをおすすめいたします。
また遺言による子の認知や、相続の廃除がある場合には、遺言執行者が必ず必要になることは、前回ご説明したとおりです。これは様々な利害関係が複雑にからまってくるからです。
次回は、どのような人が遺言執行人にふさわしいのか、そして遺言執行人を定められる時期と、気になる遺言執行人の報酬についてお伝えいたします。
相続に関して、お悩み等ございましたら、相続専門の六法法律事務所までお気軽にご連絡ください。
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