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2019.10.21 【交流がほとんどなかった甥から遺産分割の要求が…その対応法】

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こんにちは。六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。
新宿オフィスにて、ご相談を承っております。

 
遺産トラブル
 

【疎遠だった甥から突然遺産分割の要求】

 
A子さんは、先日夫を亡くされました。
元々、二人の間に子供はおらず、夫の両親や兄弟も既に他界。遺産として自宅と預貯金2,000万円ほどがありました。
 
A子さんは遺産を老後の生活資金にあてようと考えていましたが、これまでほとんど交流がなく疎遠だった甥から突然「自分の分の遺産を分けて欲しい」と連絡がありました。
 

 

【甥も法定相続人となる】

 
会ったこともない被相続人の親族から突然遺産を請求されることは、相続手続きにおいては非常に多いケースです。請求されたA子さんにとっては納得がいかないものかと思います。
 
しかしながら、民法上では、相続人になれる範囲・相続できる優先順位・割合が決められているため、今回のケースのように子供がいない、被相続人の両親も兄弟も既に亡くなっていた場合には甥が法定相続人になることができます。
 
被相続人が亡くなる以前に被相続人の子供や兄弟姉妹が死亡等により相続権を失っていた場合に発生する相続を「代襲相続」といいます。本来相続人になるはずだった人は「被代襲者」、代わりに相続人になった人を「代襲者」または「代襲相続人」といいます。
 
代襲相続人である甥は、遺産を相続する権利があります。
A子さんも渋々請求に応じ、遺産分割協議を行って財産の分け方を話し合わなければなりません。
 

 

【遺言書を作成しておけば結果は違った】

 
この事例では夫が遺言書を残すことで、甥からの請求を退けることができました。
 
遺言書は被相続人が亡くなられた後の相続手続きにおいて、遺産を渡す相手、分割方法、遺言の執行を行う人間(遺言執行者)等を指定することができ、法的効力があります。
 
遺言書がない場合は、遺産分割協議を行い法定相続人全員の合意で遺産を分けます。遺言書がある場合には、その内容に沿って相続手続きが行われます。
 

 

【甥に遺留分はない】

 
遺留分とは相続人に認められる最低限の遺産取得分です。この権利は遺言書の効力を持っても侵害することは不可能です。
 
法定相続分が決まっているように、遺留分の割合も、相続人の順位によって決められていますが、被相続人の兄弟姉妹や姪甥には遺留分が認められていません。これは子どもや親などの直系の親族と比べた時に、被相続人との関係性が薄いためです。
 
よって、もしA子さんの夫が遺言書に『遺産の全てはA子に相続する』という旨を書いていれば、甥からの遺産請求を退けることができました。
 

 

【トラブル回避のために遺言書の作成を】

 
相続トラブルは誰の身にも起こりうるものです。A子さんのように子供がいない夫婦は、遺言書を残すようにしましょう。
 
遺言書を残すことで、「法定相続人以外の人に遺産を渡したい」「長男に財産を多く分配したい」といった事項にも対処できます。
 

 

【遺言書は無効になるケースも】

 
遺言書は、書き方に不備があると無効となるケースがあります。
 
確実なものを残したいのであれば、専門家に相談して、作成する遺言書の種類、内容についてアドバイスをもらいましょう。

 

 
相続に関して、お悩み等ございましたら、相続専門の六法法律事務所までお気軽にご連絡ください。

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