こんにちは。
六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
今回はタイトルにある通り、祭祀財産について解説いたします。
【祭祀財産とは】
祭祀財産とは,民法897条に規定されている「系譜」「祭具」「墳墓」の3つを指します。
具体的には位牌や仏壇等、先祖を祀るためのものや、先祖代々から続く家系図のことを指します。
祭祀に必要な祭具は祭祀財産に含まれますが、仏間等の建物は含まれません。
(1)系譜について
系譜とは、親子関係や親戚等、先祖代々の血縁関係が書かれた図や文書のことです。掛け軸や巻物に書かれて受け継がれるいわゆる家系図などが典型です。
日本史の授業でも家康から慶喜まで続く徳川一族の家系図を見た方は多いと思いますが、それが該当します。
(2)祭具について
祭祀において利用する器具や道具の総称を祭具と言います。具体的には位牌や仏像、仏壇や神棚などがあげられます。
他にお盆の時期に先祖の霊を自宅に迎えるための盆提灯(ぼんちょうちん)等も祭具に含まれます。
(3)墳墓について
墳墓とは一般的に故人の遺体や遺骨が葬られている設備や場所を示す言葉です。具体的には埋棺や墓碑(墓石)・霊屋があり、墓地も含まれます。
【祭祀財産と相続の関係】
民法にも規定されていますが、祭祀財産は「慣習に従って祖先に関する祭祀を主宰すべき者が承継する」ことになっています。
これはどういうことかというと,通常の相続財産のように,相続人に包括承継されるわけではない=共同相続人に分割されるものではなく相続財産には含まれないものであるといえます。
よって、祭祀財産には相続税は課税されないので、祭祀財産の継承によって遺産額が変動することはありません。
明治時代には、家督制度があったため、長兄が相続することが旧民法で決められていたこともありましたが、現在では、祭祀財産と相続財産は完全に別のものとなっています。
【遺体や遺骨は祭祀財産なのか】
被相続人の遺体や遺骨についてはまだ断定できるものではありませんが、「慣習上の祭祀主催者に帰属する」と最高裁が判断した例があります(最高裁平成元年7月18日判決)。
そもそも遺骨が所有権の対象=モノとして扱うことが疑問ですが、前述の判例では埋葬・管理・祭祀・供養の範囲でモノとして扱われています。
【祭祀財産の承継には管理ができる方を】
祭祀財産を相続すると遺産が増える=相続税対象が増えると勘違いして、祭祀財産の承継を嫌がる人がいますが、祭祀財産は相続とは別物として位置づけられており、相続税の心配はありません。
先祖代々受け継がれてきた財産ですから、祭祀の継承者は祭祀財産をきちんと管理でき、祭祀主宰者としてふさわしい人を選ぶことが大切です。
相続に関して、お悩み等ございましたら、相続専門の六法法律事務所までお気軽にご連絡ください。
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