こんにちは。六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
【夫の父親の介護を任されていたAさん】
Aさんは夫と結婚した時から、夫とその父親(Aさんにとって義父)の3人で住んでいましたが、しばらくして義父が体調を崩したため、Aさんが介護を引き受けることになりました。
介護をして数十年が過ぎた後、なんと夫が急死。現在は義父の介護をしながらパートで生活を工面しています。
元々、Aさん夫婦に子どもはおらず、夫は一人っ子、義父の両親や兄弟姉妹も亡くなっています。そのため、義父が他界した後、その財産はどうなるのかAさんは不安です。
血縁関係にはないものの、数年間パートをしながら介護を頑張ってきたことや今後の生活を考えると、幾分かの遺産は分けて欲しいと考えています。
【介護は大変】
家族の介護は突然始まることが多く、介護者は心の準備もないままに生活の変化を強いられます。
身体的な負担ももちろんですが、家族が要介護状態になったショック、将来の不安、仕事への支障等、介護者には大きな精神負担もかかります。
Aさんが前述のように「遺産を少しぐらい分けて欲しい」と考えるのも、当然だと思われます。
【相続人には優先順位がある】
被相続人の配偶者は常に相続人ですが、それ以外の子供や孫、父母、兄弟姉妹は「血族相続人」といって、遺産を受け取る権利を得る順番が決まっています。
配偶者の相続のあと、第1に優先されるのが被相続人の子供、第2が両親です。子供も両親もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。
尚、代襲相続といって、被相続人の孫やひ孫、甥姪が相続財産を受け継ぐこともありますが、前述した順位の相続人が亡くなるか、相続権を失っている場合にしか生じません。いくら孫が可愛がられていても、被相続人の子供がいる限り、孫は相続人になれません。
【特別縁故者の財産分与請求か遺贈で遺産を得る】
Aさんの義父は血縁関係者が既に亡くなられているので、法定相続人となる方はいません。
死亡後にそれが確定すると、生前に介護をして生計を共にしていたAさんは「特別縁故者」として財産分与の請求をすることが可能です。
ただし、この手続きには1年以上の日数がかかってしまいます。また途中で相続人(義父の隠し子や遠戚の人間)が出てくるとややこしくなります。
もし、義父が遺言書を作成していて、「遺産はAさんに譲る」と残してくれていれば、それほど時間をかけずに遺贈という形で遺産を得ることができます。
【相続人がいる場合は、介護の有無で遺産請求が可能】
義父に他に子供や兄弟がいた場合、法定相続人になれないAさんは遺産をもらえないのでしょうか。
安心してください、実は血縁関係者ではない場合でも介護の有無によって、金銭請求が可能な「特別の寄与制度」というものがあります。
これは2019年7月1日に新設され、相続人でない親族が被相続人に特別に寄与した場合、寄与に見合った金銭の請求ができる制度です。
寄与に見合った金銭は「特別寄与料」といい、被相続人の介護もこれに当てはまります。
この制度を利用すれば、生前の養子縁組や遺言書の作成がなくても、相続人に対して金銭支払いを要求できます。同制度の特徴や注意すべき点は次回の記事で詳しく説明いたします。
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