こんにちは。六法法律事務所の弁護士道本幸伸です。
私の得意分野は、相続、遺言、遺産分割等の相続全般です。新宿オフィスにて、ご相談を承っております。
【父親の死亡後に発覚した隠し子の存在】
先日父を亡くされたA男さん。遺言書はなかったので、財産の分割について母や弟と話し合いを始めようとした所、突然父の子供と名乗る方から連絡がありました。
手続きを代行している弁護士からも裏付けが取れており(父も認知済み)、父の子供で間違いないという。
そして遺産の受け取りも希望しているとのこと。
父に隠し子がいたこともショックなのに、遺産の分割内容まで影響が出ることにAさんはとても困ってしまいました。このようなケースでは、一体どうすればいいのでしょうか。
【隠し子は遺産分割トラブルになりやすい】
相続では遺言書がない場合、遺産分割協議で遺産の分割を話し合います。
前提として財産調査を行って遺産を確定し、次に法定相続人を明らかにします。その上で、遺産分割協議書を作成し、相続人全員がそれに署名・実印を押すことで分割が決定となります。
今回のような、想定外の相続人の出現はトラブルの大きな原因となります。
全く関わりがなかったほぼアカの他人同然の方とのやりとり、遺産の取り分も少なくなる懸念があること等、家族の心情に負担がかかるからです。
【婚外子とは】
隠し子というと広義的な意味がありますが、法的な婚姻関係にない男女の間に生まれた子供=「婚外子」のイメージが強いでしょう。
婚外子は「非嫡出子」とも呼ばれます。
(1)婚外子と両親との関係
婚外子と両親の法的な関係は、以下で決まります。
婚外子と父親:認知すれば確定
市区町村役場に認知届を提出すると認知完了となります。
(2)認知が可能な時期
婚外子の認知は被相続人の生前でもできますが、遺言書でも可能です。遺言で認知をする場合は、遺言執行者が手続きを代行します。
愛人との間に生まれた子供等の認知は、生前ではなく遺言で認知する傾向にあります。
なお、本人の承諾を前提に子供が成人した後に認知することや、母親の承諾を条件に胎児での認知も可能です。
【婚外子も親の遺産を相続できる】
(1)認知の有無
婚外子も遺産を相続することができますが、父親の遺産を相続する場合は認知の有無で変わってきます。
前述したように、婚外子が父親と法的な関係になるためには認知してもらう必要があります。
法的な関係になければ法定相続人になれず、相続人としての権利が与えられません。
婚外子の相続権利
父親の遺産:認知されていれば相続できる
※(遺言書がなくても法定相続人になれる)
(2)遺産の取り分
婚外子の法定相続分は嫡出子(婚姻関係にある夫婦から生まれた子)と同等です。
他の相続人が被相続人の配偶者と子供1人だった場合、
婚外子の取り分は1/2×1/2=1/4となります。
以前では、婚外子の法定相続分は嫡出子の半分でした。しかし、法の下の平等を定める憲法に違反するという最高裁の判断から民法が改正され、現在では婚外子の法定相続分は嫡出子と同等になっています。
【トラブルを生まないために】
今回A男さんの父は婚外子の存在を明かさぬまま亡くなったため、A男さんに負担をかけることとなりました。
家族の混乱を防ぐおよび相続トラブルの火種を大きくしないためにも、生前に家族に話しておくこと、それができなければ遺言で婚外子を認め、遺産分割の方法を指定しておく等、対策をするべきです。
相続に関して、お悩み等ございましたら、相続専門の六法法律事務所までお気軽にご連絡ください。
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